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このページは、税制の動向や第一線の税務行政にまつわる最新情報、その他興味深いホットな情報を、お届けするコーナーです。

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10年 3月  「老人からむしり取れ」を継続
09年 9 税務行政の現状と課題 前長官の講演
08年10 税務調査がどう変わるのか
08年 3月  ちょっとひどい e-タックス普及のやり方

          


  老人からムシリ取れ」を継続

           
民主党の公約はどこに


この記事は「税理士法人宮澤税務会計事務所」の
ホームページ(http://www.miyazawa-kaikei.com)
「税金ウオッチ」から転載させていただいたものです

  確定申告の時期、税務行政への支援として税理士会は無料相談会を開いています。要請があり平日の1日相談に従事しました。朝から受付けを待つ長蛇の列。並んでいるのは大半がお年寄りの方。相談者は1日で25名でしたが、2ヶ所給与の若者ひとりを除いて24名は年金受給者でした。

他の税理士の面接者も同様でしたから、年金受給者が確定申告のために税務署や無料相談会上に殺到している様子が容易に想像できます。
  24名の年金受給者のうち、支給額が年間300万円を超えていた人はたった一人。夫婦で長生きされている方も二人合わせて300万円を超えている人はいませんでした。

     年金受給者の税引き後手取り額        (単位:千円)

年金額

 齢

控除額

所得税

住民税

税金合計

実質税率

手取年額

手取月額


1,000

65歳未満

700

 ―

 ―

 ―

  0

1,000

  83

65歳以上

1,200

 ―

 ―

 ―

  0

1,000

  83


1,500

65歳未満

750

 18

 42

 60

 4.0

1,440

120

65歳以上

1,200

 ―

 ―

 ―

  0

1,500

125


2,000

65歳未満

875

 37

 79

116

 5.8

1,884

157

65歳以上

1,200

 21

 47

 68

 3.4

1,932

161


2,500

65歳未満

1,000

 56

117

173

 6.9

2,327

194

65歳以上

1,200

 46

 97

143

5.7%

2,357

196


3,000

65歳未満

1,125

 74

154

228

7.6%

2,772

231

65歳以上

1,200

 71

147

218

7.3%

2,782

232


4,000

65歳未満

1,375

224

229

453

11.3%

3,547

296

65歳以上

1,375

224

229

453

11.3%

3,547

296


5,000

65歳未満

1,535

308

313

621

12.4%

4,379

365

65歳以上

1,535

308

313

621

12.4%

4,379

365

 所得は公的年金だけとしています。
 所得控除は基礎控除のみです。
 住民税は均等割を考慮していません。

  老年者控除廃止、公的年金控除引き下げの影響

  基礎年金の国庫負担引上げに必要な財源を確保するためとして、平成17年から、高齢者狙い撃ち増税が実施されました。
  65歳以上の老人で年間所得が1,000万円以下であれば、一律50万円を所得から控除できる老年者控除が廃止されました。さらに、公的年金の受給額に応じて年金収入から控除できる公的年金等控除についても、65才以上の最低保障額が140万円から120万円に引き下げられました。
  平成1611日からの配偶者特別控除(上乗せ部分)廃止とあいまって、65才以上の課税最低限は平成16年が約285万円(注)だったのが、平成17年には約205万円まで引き下げられたのです。
(注)モデル世帯=夫婦とも65歳以上、妻は専業主婦、受給額2人合計で約283万円の場合は非課税でした。
  定率減税の廃止、地方税への税源移譲と続き、年金受給者の現在の税金負担と手取り額は表のようになります。手取り額でみると、年金だけで生活するのは容易なことではありません。

後期高齢者医療制度のスタートで手取り急減

       nenkinmihon.jpg
 
 そのうえ、第二の税金である社会保険料がお年寄りを襲いました。負担額を実感していただくために、年金者組合の方に協力していただきました。Aさんの「公的年金等の源泉徴収票」は別掲のとおり支給額は2,362,896円(月額196,908円)です。
  Aさんはいたって健康で、基礎控除しかないため、年税額は30,200円となります。プラス社会保険料が177,800円ですから、手取り額は2,154,896円(月額179,574円)となり、生活はぎりぎりといいます。
  源泉徴収票で目を引くのは、長寿医療保険料額。税金の約4倍です。平成204月からスタートした「後期高齢者医療制度」の保険料のことです。

  高齢者同士で医療保険制度を支えあうという世界でも例のない保険制度の導入により、高額の保険料が基本的にすべてのお年寄りから徴収される制度ができました(減免措置あり)。
 民主党は公約で、老年者控除の復活と後期高齢者医療制度の廃止を掲げ、後者については撤廃の法案も提出した経緯があります。しかし、政権についたとたん、税制改正では老年者控除の復活を見送り、後期高齢者医療制度の見直しについては先送りとしました。

  長年にわたり社会に貢献してきたお年寄りの皆さんが、余生を安心して送ることができない国、ぎりぎりの生活水準といえる年金受給者が確定申告で税金を納めるために税務署に出向かなければならない国、それが日本の現実です。
  年金受給者も消費税で税金に寄与しているのです。また、年金は失業手当と同じといえますから、基本的に所得税は非課税とすべきものです。お年寄りだけの差別的医療制度による高額の社会保険料もやめるべきです。引かれるものがないとなれば、安心して消費に回り、全体の税収は回復されます。単純に財政の逼迫を生じるものではありません。むしろ、税務行政や医療行政で膨大な事務的エネルギーを割き、実に社会的な損失をもたらしているのです。
  財源は応能負担原則を強化すれば十分に確保できます。民主党は、公約どおり、老年者控除を復活させ、後期高齢者医療制度を撤廃しなければなりません。




     税務行政の現状と課題

    石井前長官の講演要旨

 前国税庁長官の石井道遠氏が、09年6月19日、TKC講演で「税務行政の現状と課題」と題して講演した内容が明らかになりました。私たちにとって、重要な内容が含まれていますので、その概要をお知らせします。

税務行政の課題

 石井氏は税務行政の課題として、申告件数が20年前の1.6倍に増加した事実をあげながら、「申告納税額が大幅に落ち込む一方、申告件数の内、納税752万件に対して還付1,284万件、還付件数は20年間で1.8倍に増えている」ことを指摘しました。還付申告する納税者にとっては、先払いしている税金を、面倒な手続きをして後で取り戻すのですから、早期還付は納税者の当然の権利。この還付申告激増の事実を捉え、石井氏は、「税務署にとって大きな負担になっている」と、まるで、還付事務が税務署にとって「負の仕事」みたいに認識していることに、ちょっと驚かされます。
 このほか、税務行政の課題として、租税をめぐる国際化、広域化、高度情報化の進行を指摘。このような税務をめぐる環境の変化と申告件数の増加等が事務量を膨大化させており、これに比して職員の増加は見込めない状況と述べています。

こうした中で、実調率は20年前と比較して、法人は半減し、19年の実調率は4.9%に、個人は3分の1に低下し、19年の実調率は0.7%になってしまったと…。個人にいたっては「百年に一度も調査が回ってこない」と嘆いていますが、実感はちょっと違います。

課題に対する取り組み

以上のような税務行政の課題に対しての取り組みとして、@e-Taxの普及、A税務相談体制の見直し、B書面添付制度の普及、C内部事務一元化とその後の体制づくり、Dメリハリある調査の実施、E国際化への対応、F訴訟への対応と査察の強化、などを掲げました。

これらの対応策の内、e-Taxの普及に関しては、最重要課題と位置づけ、「20年度の実績値36.6%を、25年度には65%まで引き上げる、そのためには税理士の皆さんのご協力を」と述べています。また、相談体制の見直しでは、524全署を対象に、各局に「電話相談センター」を設置、これに伴い各署の相談室を廃止し、相談官を局「電話相談センター」に集中化、納税者からの一般相談を税目別に、個別相談は「実名予約制」で受け付けているとのこと。確定申告期には、「確定申告電話相談センター」を運用し、職員や税理士が対応。確定申告期の「無料相談」も含めて「税理士の皆さんの大変な協力をいただいている」と述べています。
 書面添付問題では、本年4月に「運営指針」を改正し、「710日以降、記載内容が良好な書面添付については、意見聴取後、『調査省略通知』を始めることになった」と述べました。内部事務一元化は本年7月、524全署で実施、新たに出来た管理運営部門には7,400人が配置されたとのこと。また、石井氏は滞納問題にもふれ、悪質事案等に対しては「滞納処分免脱罪での告発」を行っていることを明らかにしました。
 
石井氏が述べている、税務行政の課題に対する対応策というのは、つまるところ、これまで国税当局が掲げてきた調査・広報・相談・指導という4本柱のうち相談とか指導の分野を省力化し、その分、調査・徴収に振り向けるということのようです。そして、省力化された分は、税理士への下請け化、行政ーサービスの低下というかたちで対応する、ということにほかなりません。



08年10月 課税庁の税務調査の基本方向


税務調査がどう変わるのか? 国税局長会議等の開示情報から

 
平成22年度の全面的な調査・徴収強化体制の確立に向けて、21年7月の内部事務の一元化、それに対応する課税部門の窓口一本化、課税総括部門の新設(一定規模以下の署には担当統括間を指名)、成果主義を基調とする「新勤務評定制度」の導入など、いま、税務行政の現場はめまぐるしく動いています。
   ※ 課税総括部門は、調査事務運営の司令塔と思われる。

 このような全体の動きと符節を合わせながら、「調査事務運営の見直し」も図られています。調査体制の見直しとして、具体的には、
  @大規模事業者事案→局・署の所管替え、源泉の調査体制の強化
  A悪質・困難事案→資料調査課の体制見直し(署指導方式は廃止)、特調事案のための審理担当班設置
  B先端分野事案→都市課税部の体制整備(国際担当特官の設置など)
が打ち出されていいます。

 平成20年1月開催された全国国税局長会議では
、特に国税局と税務署の役割分担の再整理を図るなど、税務調査の基本的方向性が打ち出されました。それによると、
 @局調査担当部門は、高度な調査能力や機動的な事務量投下が必要な事案、事業の地域展開が広範な事案など、真に局で対応すべき事案に特化しつつ体制を強化する方向
 Aそれ以外の事案は、調査の基本単位である署の調査部門(署広域部門を除く)の活性化も視野に入れ、原則として署の調査部門で対応することとし、署一般調査部門は、体制の見直しも含め強化する方向
 B署広域部門は、署の調査部門の支援・調整を行うことを原則とし、て効率化する方向

 平成20年4月に開催された全国国税局長会議では、以上のような調査体制のあり方について、20事務年度(20年7月開始)から試行・実施することとし、検討課題については各局の実情を十分にふまえた検証を着実に行いつつ、平成22年度を目指して、おおむね見直し後の調査体制への移行を図る、としています。

 現在、若手職員の育成の遅れ、統括官等の管理能力の低下など、さまざまな理由から「調査体制の弱体化」が言われています。いま進められている「調査体制の見直し」は、このような現状の打開を目指そうというものです。課税庁が、調査の中長期的課題に掲げているのは、
  @個人課税→二極分化による調査事務運営推進(高額・悪質、中低階層からの「潜在高額」の掘り起こし)  A法人課税→メリハリある調査事務運営の推進
  B資産課税→調査優先度に応じた調査着手(申告審理表の試行)
  C課税総括プロジェクトチーム設置方式等の全局での試行実施
などです。

 このような流れを見ると、今進められている改革は、税務行政が調査・指導・広報・相談という従来方式から、人員のシフトも含め、調査(徴収)に特化するものですから、私たち税理士としも看過することができません。



08年3月  ちょっとひどすぎないか   Eタックス異聞


 今年の確定申告は、全国の税務署で、まさにEタックスの普及競争に翻弄されました。「台風の目」になったのは「初回来署型電子申告」。20年度8%の目標を「確定申告期間中に前倒しでやれ!」の号令のもと、なんと、全国平均14.2%(速報値)の超過達成とか。いったい全国の税務署で何が行われたかは後述するが、確申期後の税務署では、Eタックス台風のつけが押し寄せ、申告書の管理部門への回付割合が例年より大幅に遅れ、内部担当部門では連日の残業とのこと。

 では、いったい2−3月中に税務署で何があったのか。

 其の一。三重県の鈴鹿署では、相談会場からタッチパネルを撤去してパソコンを配置。老いも若きも来署者を優先的にEタックス・コーナー(初回来署型コーナー)へ流し込んだ。そのため、お年寄りも含め半強制的になり、どういうわけか納税者が市役所に苦情を申し立てたため新聞沙汰になった。
 其の二。青色申告会が収受した申告書を、税務署が勝手に電子申告にしてしまった。現在までに東京国税局管内では、板橋、西新井、本郷、江戸川南、荒川、保土ヶ谷、北沢の7署が判明。これは氷山の一角といわれており、全国に波及する可能性が大だ。現在、全署で調査を開始した模様。東京局の全管副署長会議の席上、局課税総括課長が謝罪したとのこと。この問題は、刑法161条2項「電磁的記録の不正作出…」に触れるおそれがあり、のちのち尾を引きそう。
 其の三。Eタックスの普及競争が高じて、職員が納税者に代わって代打ちをした(各署)。そのため、署へのリピーターを減らすという施策であったはずの「初回来署型」は、「次回も来署型」「永久来署型」と揶揄されて
いる。
 其の四。あれやこれやで、20年度8%の目標に対し、14.2%と超過達成したという。ところが下に表示する普及率は、1クリックの送信で一件とカウントするとのこと。実際は、電子申告者が一回とか2回の「試し打ち」をするらしい。これを差し引き勘定すると目標達成が怪しくなるというのがもっぱら。この点について、「国税庁当局はダンマリを決め込むのではないか」といわれている。
 其の五。電子申告分の今後の税務署での処理として、電子申告者の内、30%をめどに返信封筒を送り、添付書類を送付してもらうという作業がある(郵送料は受取人払い?)。何しろ、源泉徴収票も添付省略なのだから、当然の作業である。この資料送付を拒否または無視された場合、その対策はいまだ不透明という。

 最後に、4月初旬の「速報値」であるが、所得税と消費税のEタックスの進捗状況は以下のとおり。
                     (国税局)      (所得税)    (消費税)
                      札幌         11.3     13.9
                      仙台         14.4     17.1
                      関信         14.2     19.4
                      東京         11.2     11.6
                      金沢         15.6     30.6
                      名古屋        15.0     19.3
                      大阪         15.5     16.6
                      広島         13.1     23.4
                      高松         19.0     17.5
                      福岡         21.3     27.0
                      熊本         15.9     21.1
                      沖縄         19.1     19.1
                      全国         14.2     18.0 

                      

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